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マンション管理士として、これまでの管理組合の皆様からのご相談内容やマンションの管理に関する私自身の考えを綴っていきたいと考えております。お気軽にお読みください。

管理組合って何?

管理組合をご存知ですか?

管理組合とは分譲マンションの管理運営を司る団体のことです。皆さんがマンションを購入されると、必ず加入しなければなりません。その管理組合と非常によく似ていて、勘違いされるのが自治会です。自治会とは地域のコミュニケーションやさまざまな活動を円滑に行うために組織されている任意団体です。ですから、管理組合と違い強制的に加入する必要はありません。実は、偉そうに言っていますが、私もこの仕事に携わるまではその違いがよくわかりませんでした。実際は管理組合と自治会が一緒に運営されているケースがたくさんあります。理事に選出された方々は日頃忙しいので、別の日に集まって運営することが、難しい現実があります。 そのことで次のような弊害が起こる場合があります。例えば運営面において、その時期により管理組合か自治会のどちらかに議題が集中し、議事を円滑に行うはずが、かえって問題が複雑になってしまい収拾がつかないことがあります。 その中でも、一番大きな問題はお金の流れです。上記のケースでは管理組合の通帳に管理費や修繕積立金だけではなく、自治会のお金も一緒に保管していることがよくあります。 使用目的の違うお金をひとつの通帳で管理するのは、大変な問題を引き起こす原因にもなりますので、最低限通帳は使用目的に合わせて作ることをお勧めします。ご相談に来られる方の相談内容もだいたいお金にまつわる話ですから、マンションの管理組合運営において、お金の流れを管理することは、非常に重要な仕事のひとつです。この時期、多くのマンションでは管理組合の定期総会が行われ、改選された新しい理事の方々が慣れない仕事を引き継ぎ、ご苦労されていると思います。上記の問題はほんの一例ですが、運営面のいろいろな悩みについて抱え込まずにお気軽にご相談下さい。

どちらが悪い?!

どちらが悪い?!隣人トラブルはこうして起こる

先日、知人から電話があり、その友人がすぐ上の住人の騒音に悩んでいるので、相談に乗ってほしいとのことで、相談に向かったところ、日中に上の住人の騒音で睡眠を妨害されるとの相談内容でした。相談時刻がちょうど妨害される時間と重なっていたので、私が音を確認しましたが、日中ということもあり、上階に限らず、四方から音がしている状況なので、上の住人の方とよくコミュニケーションを取ってくださいとアドバイスをして帰ったところ、後日、また連絡があり、今回は上の住人と掴み合いのけんかになったとのことで、今度は管理組合の理事長も同席の上、お互いの事情を聞いてみると、築年数が古いマンションで、元々じゅうたん敷きの部屋をフローリング材にリフォームをし、音が吸収できずに少しの音でもかなり響くようになっている状態になっていました。上の住人も夜間はかなり気を付けるようにするが、日中は子供たちもまだ小さく、出入りが頻繁なので、気を付けるが多少の許容はお願いしたいとのことでした。日頃からお互いにコミュニケーションはほとんどなく、今回も騒音のトラブルになっている関係で余計にコミュニケーションがとりづらく、また相談者も夜勤の仕事で、日中は寝ているとの事で、お互いの生活リズムの違いがこういうトラブルを引き起こすのだなあ?と思い、お互いに気を付ける時間帯を確認して、その場はなんとか収まりました。相談者の部屋で理事長も一緒にしばらく話をして、引き上げる際に部屋を走り回っている小型犬がいたので、ここのマンションは規約上ペットOKですよね?と質問したところ、真顔でペットはもちろん禁止です!と答えられ、私がその答えに少し怪訝そうにするとすかさずこの犬はペットではなく、私の子供だからOKですと持論を述べられ、表札にもそのペットの名が書かれていました。理事長もこの問題にもかなり頭を悩ませているようで、時間をかけて解決しましょうとアドバイスをして、マンションを後にしました。

果たして、これはどちらが悪いのでしょうか?!

先送りが招く悲劇・・・

先送りが招く悲劇・・・(管理費等滞納問題について)

マンションの管理組合では日常の維持管理費用に充てるため、各区分所有者から月々一定額の管理費や駐車場使用料並びに将来の修繕費に充てるための修繕積立金などのお金を集めています。

これらのお金は順調に集金出来ていれば問題ないことですが、例えば、世帯主の急なリストラや、病気などによる収入の減少で支払いができない事態が発生した場合、管理組合は理事会で回収方法について話し合い、その対処をしなければなりません。

日頃、顔を合わせている滞納者に面と向かって滞納額の支払いを要求するのは、容易なことではありません。その結果、本来対処すべき理事会が問題を先送りしてしまい、大変大きな問題に発展することがよくあります。

ここで管理組合がよく勘違いされているケースをご紹介します。

管理会社との間で管理委託契約を結んでいるマンションでは、滞納管理費等の回収業務を管理会社に一任していますが、あくまでも管理会社は委託内容に基づき、業務を遂行はしてくれますが、回収リスクまでは保証しませんので、何もかも管理会社まかせは非常に大きな問題になります。理事会が絶えずチェックをして、管理会社と協力の上で、積極的に問題解決することが必要になります。

問題解決の先送りはさまざまな弊害を引き起こします。まず第一に滞納額の増加です。早期に対処していれば、回収する側も支払う側も、支払可能な方法について、よく話し合いが出来るのですが、対処を先送りすることで、話し合いで解決が出来なくなり、感情的なしこりが残った状態で、法的手段を取ることになってしまいます。滞納者側に感情的なしこりが大きくなれば、時として、取り返しのつかないトラブルに発展する場合も、現実に発生しています。

第二として滞納額増加に関連しますが、冒頭に述べたとおり、マンションの維持管理及び修繕等に必要な費用が滞納されているわけですから、資金不足が発生してその皺寄せは当然、各区分所有者にかかってくることになります。

このように、先送りは何の問題解決にならないばかりではなく、結局は将来その責任を自分たちが負うことになりますので、理事会において対処方法のマニュアル(例えば:2ヶ月滞納したら理事が出向き、督促する。3ヶ月滞納したら理事長名で内容証明郵便を出す。6ヶ月滞納したら裁判も辞さない)を作成したり、規約に滞納者に対するペナルティー条項や、総会を開催せずに理事会決議で裁判手続が出来る条項を設けることで、事務的に解決をはかり、引継ぎもスムーズに行うことが可能になります。

気がつけば住めないマンションになる?!

分譲マンションには月々支払うものとして、管理費、駐車場使用料等の他に「修繕積立金」というものがあります。何気なく当たり前のように支払っているこのお金について、その中味(使い道)を検証しておかないと、後々大変なことになるケースがあります。買ったばかりの新築マンションや、築2~3年位のマンションではそれほど問題にはなりませんが、築8年~10年、15年~20年、25年~30年とだんだん築年数が経ってくると、必ずそれに伴うマンション共用部分の修繕工事(屋根の防水工事、外壁や配管等の修繕工事等)が発生してきます。工事の種類によって修繕費用はさまざまですが、新築当初の修繕積立金の額では、大規模な修繕工事になると積立金の不足の問題が発生してきます。そこで修繕積立金が適正かどうかの検証方法として、「長期修繕計画の作成、見直し」という方法があります。現状のマンションの状況を建築士等の専門家に建物診断をしてもらい、新築から約30年位までに行う修繕工事の種類とその費用を見積もり、その総額を区分所有者の負担割合で割り、月額換算すれば適正な修繕積立金が計算できます。建物劣化状況の変化や物価変動に伴い、約5年~7年毎に計画の見直しを行えば、より適正な価格が計算できます。現状の修繕積立金との差額を一時金として徴収する方法もありますが、やはり月々の額の見直しを早い時期から行うことで、その負担を軽減することができます。築年数が古く、見直しも一時金も徴収出来ない場合、必要な修繕工事が出来なくなり、マンションの老朽化に一層拍車をかけ、結果的に住めないマンションになってしまうという状況が実際に起こりつつあるのが現状です。皆さんも自分のマンションの積立金について、管理会社まかせにせずに自分で一度検証してみてはいかがでしょうか?

管理組合の自治機能不全?「私のマンションだから、文句を言うな」 

管理組合を運営する中で、区分所有者の年齢や様々な事情の問題で管理組合の役員の担い手がいないマンションでは、同じ区分所有者が10年以上理事長に君臨し、その中で権力を持ち、その結果、誰も意見が出来ない状況に陥ってしまうケースが珍しくありません。マンションによっては原則輪番制を取ったり、任期を1年毎や2年半数交替制を取ったりして、上記のような状態にしないようにしていますが、一方で、継続的に対応しないといけない問題に1年や2年では解決することが難しい場合も多々あります。同じ人が複数年役員を行う事がすべて悪いわけではありませんが、区分所有者全員が、現状の問題を共有し、管理組合の自治機能が適正に推進される事が、自分の財産を守る近道になる為、長期的に議論が必要な問題(大規模修繕工事、規約改正等)は理事会の下部組織として、専門委員会を立ち上げて、理事会とは別に議論することをおすすめします。理事会では日常管理についての問題や、その年度で予算に計上された修繕工事等の検討する必要がありますので、専門委員会では問題の本質や解決策を掘り下げて考える事が出来ますので、委員長の立場で複数年かけて意見書等をまとめて、実行する際に理事に立候補するなどして、もう一度理事会運営に参加すれば、権力が集中しない予防にもなります。一度ご検討してみてください。

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